【タングステンが消えた理由】釣具屋さんも知らない?タイラバやジグが品薄・高騰している本当の背景

タングステン製の人気タイラバヘッド(遊漁船FOLK IN ONで使用)

最近、釣具屋さんでタングステン製のタイラバやメタルジグを探しても、「お目当ての重さがない…」「なんだかまた値上がりしている?」と感じることはありませんか?

実は私(スタッフH)、以前は釣具店でスタッフとして働いていました。当時からタングステン製品の品薄感や価格の上昇は肌で感じていたのですが、恥ずかしながら「なぜこれほど品薄なのか」の本当の理由を知っているスタッフは、私を含め、ほとんどいませんでした。

それもそのはず——原因は釣り業界の中だけのお話ではなく、世界規模で行われている「地政学的な資源戦争」が背景にあったからです。

今回は、元釣具店スタッフの視点から「タングステン問題」の裏側をしっかり掘り下げつつ、関門海峡の現場を知る石田船長の目線も交えて、釣り人が今どう動くべきかをお伝えします!

目次

タングステンってそもそも何がすごいの?

鉛(なまり)と並んで、今やタイラバのヘッドやメタルジグの主流素材となったタングステン。価格が高くても多くの釣り人に支持される理由は、その「圧倒的な比重の高さ」にあります。

タングステンの比重は「19.3」と非常に高く、同じ重さであれば鉛よりも大幅にシルエットを小さく(コンパクトに)作ることができます。これが、釣果において決定的なメリットをもたらします。

  • シルエットが小さく、水の抵抗が減るため、より速く沈む(フォールスピードの向上)
  • 硬度が高いため、着底した瞬間の感覚(ボトム感度)が手元に鋭く伝わる
  • 激流で知られる関門海峡のようなエリアでも、潮に流されにくく圧倒的に扱いやすい

特に私たちのメインフィールドである関門海峡のタイラバでは、小さくてもしっかり激流を突き抜けて沈んでくれるタングステン製ヘッドの存在は絶大です。石田船長も「タイラバもジグも、タングステンに越したことはない」と太鼓判を押しています。(余談だけれど特に初心者さんで底取りが苦手な人に、ぜひ使ってみてもらいたいです。全然楽に底取りできるから!)

▶タイラバの道具選びについてはこちらの記事で詳しく解説しています

なぜタングステンが消えたのか:背景を深掘り

① 世界のタングステンは「中国が約8割」を占める

問題の根っこにあるのは、世界のタングステン供給の構造です。実は、世界のタングステン生産量の約8割は中国産。かつてはカナダやオーストラリアなどでも採掘されていましたが、中国産の圧倒的な低価格に押されて多くの鉱山が閉山してしまい、現在は「中国一極集中」の状態が続いています。

つまり、中国が輸出のルールや量を変えるだけで、世界中の製造業が一斉に大打撃を受ける構造になっているのです。

② 軍事転用も可能なレアメタル:輸出規制の開始

事態が大きく動いたのは2025年2月。中国政府はタングステンを含む5種類のレアメタルを「軍民両用品目(デュアルユース)」に指定し、新たな輸出許可制の枠組みに組み込みました。

タングステンは釣り道具だけでなく、半導体、自動車、そして防衛産業(軍事用兵器)に欠かせない超重要素材です。そのため、外交上の「切り札」として規制が強化されることになりました。

さらに2026年に入ると輸出許可の枠が一段と絞り込まれ、世界中の製造業で「お金を出しても材料が買えない」という深刻な状況が発生。日本国内の大手タングステン粉末メーカーも「2026年4月出荷分より受注制限」を正式発表するなど、その影響は釣具業界にも直撃しています。

③ 原料価格は40%以上の高騰、釣具の値上げへ

この規制を受け、タングステンの原料価格(APT国際指標価格)は2025年第1四半期の時点で前年同期比40%以上も高騰しました。釣具メーカーの現場からは「原価が2〜3倍に跳ね上がった」という悲鳴にも似た声が上がっています。

実際に、ダイワ(グローブライド)も2026年1月にリール・ロッド・用品の値上げ(用品は平均9.6%増など)を実施し、「自助努力で吸収できる水準を超えた」とコメントしています。

こうした世界規模の裏事情は、釣具屋さんの店頭レベルではなかなか情報が届きにくいため、一般の釣り人には「なぜか棚が空いている」「また値段が上がった」という現象だけが見えている状態になっているのです。

中古釣具店でのリアルな光景:知っている人だけが即買いしていく

私が中古釣具店で働いていた当時の話をすると、タングステン製品はまさに「入荷すれば即完売」の超人気アイテムでした。

状態の良いタングステンヘッドやメタルジグが買取で入荷すると、この背景(品薄や高騰のリスク)をすでに知っているコアなお客さまは、見つけた瞬間にまとめ買い(即買い)をしていきます。逆に、事情を知らないお客さまは「中古なのに何でこんなに高いの?」と素通りしてしまう。

この「知識の差」が、今後のタックル準備において手に入れられる道具の質を大きく左右する時代になっています。

中古でタングステンを見分けるには?

「磁石にくっつかなければタングステン」と思っている方もいるかもしれませんが、実はこれは半分正解・半分NGです。タングステンも鉛も、どちらも磁石にはくっつきません。磁石で分かるのは「鉄・スチール製かどうか」だけなんです。

💡タングステンと鉛を見分けるポイントはこの3つ
  • サイズ感:同じ重さでも明らかに小さいのがタングステン。手に取ったときの「この重さでこのサイズ?」という感覚が目安になります
  • 硬さ:爪で引っかいても傷がつかないのがタングステン。鉛は柔らかいので爪でも傷がつきます
  • :硬いものに当てたときの「カンッ」という高い金属音がタングステンの特徴。鉛は鈍い音がします

中古釣具店で掘り出し物を探すときに、ぜひ試してみてください!

今、釣り人はどう動くべきか?

正直なところ、現在の地政学的なリスクや中国の輸出規制が、短期間で劇的に緩和されるとは考えにくい状況です。

だからといって、焦って法外な転売品を買い占める必要はありません。しかし、これからは店頭やネットでタングステン製品を見かけたときに、「また今度でいいか」とスルーするのではなく、「必要な重さ、ここぞというカラーを見つけたらその場で確保しておく」という意識を持っておくのが賢い選択です。

特に、以下のようなチャンスがあれば積極的に検討してみるのがおすすめです。

  • 釣具店のセールや在庫処分コーナーに並んでいるとき
  • 中古釣具店でコンディションの良い掘り出し物が出ているとき
  • 釣り仲間が「使わないから」と譲ってくれるとき(笑)

関門海峡でのタイラバにおいて、茂樹船長が使用するヘッド重量は潮の状況に合わせて60gが標準。さらに潮が速いタイミングでは、45gのタングステン製ヘッドがそのコンパクトさを活かして大活躍してくれます。ジグに関しても同様で、「タングステンだからこそ通せるラインがある」というのが現場のリアルな実感です。

まとめ

タングステン製品が手に入りにくく、価格が高騰しているのは、単なるメーカーの都合や釣具業界だけの問題ではなく、世界規模の資源争奪戦による影響です。

この背景を少し頭に入れておくだけで、これからの釣具選びやタックル補充の判断がガラリと変わってくるはずです。お気に入りのタングステン、見つけたらぜひ大切にローテーションに組み込んであげてくださいね。

FOLK IN ON では、関門海峡の潮流に合わせた最適なタックルやヘッドの選び方について、乗船前のご相談にも個別にお応えしています! 「手持ちのタックルで大丈夫かな?」「何グラムを用意すればいい?」など、気になることがあればどうぞお気軽に公式LINEからメッセージを送ってくださいね😊

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次