魚の心理学【第二限目】住環境の心理学:関門海峡「待ち伏せマンション」の正体

はじめに:昔の私が信じていた「まさか」

正直に言うと、遊漁船に乗り始める前の私は、
「こんなに流れが速い海に、魚なんて定着するの…?」と本気で疑っていました。

関門海峡は東流れと西流れの2つの潮流が1日に4回も入れ替わっているのです。しかも、海峡の中で最も幅が狭い早鞆瀬戸(はやとも の せと)付近では、最大で10ノット(時速約18km!)を超える猛烈な速さになり、「日本三大急潮流」のひとつに数えられています。

堤防釣りの経験しかなかった頃の私にとって、「流れが速い=魚が居着きにくい」というのが常識だったからです。魚って穏やかな海でのんびり暮らすものだと思っていたので、こんなに流れがあちこちに変わる海の中で定住するのは難しいんじゃないって、普通に思っていました。

📍関門海峡の潮流はなぜ4回も入れ替わるの?

東側の周防灘(瀬戸内海)と、西側の響灘(日本海)とで、潮の満ち引きのタイミングと潮位差が異なるためです。

  • 東流れ(ひき潮時): 西側(響灘)の水位が東側(周防灘)より高くなると、西から東へ流れる。
  • 西流れ(みち潮時): 東側(周防灘)の水位が西側(響灘)より高くなると、東から西へ流れる。


でも、実際は逆でした。
関門海峡は日本屈指の激流でありながら、マダイをはじめとした魚たちが数多く暮らしている豊かな海です。

今日はその「なぜ?」を、魚の心理学の視点から解き明かしていきます。

賢い魚は、潮の流れとは戦わない

北九州・関門の遊漁船FOLK IN ONの船上で真鯛を釣り上げた釣りキッズ

人間の感覚だと「速い流れの中で魚が生きていくには、相当な体力が必要そうだ」と思ってしまいますよね。

でも、魚――特に大型に育った賢いマダイほど、実は無駄な体力を使うことを極端に嫌います。

激流の真正面に居座って泳ぎ続けるのは、魚にとっても相当な負担です。
賢い魚ほど、海底の地形をうまく利用して、「流れをかわしながら、餌だけはしっかり確保できる場所」に身を潜めているのです。

海底の「待ち伏せマンション」とは?

その「身を潜める場所」というのが、海底のカケ上がり(斜面)や岩陰、沈み根の裏側といった、地形に凹凸がある場所です。

イメージするなら、ビル風が吹き荒れる大通りの裏にある、静かな路地裏

強い風(=速い潮流)を地形がブロックしてくれるので、そこにいれば体力を使わずに済みます。しかも、上流から流れてくる美味しそうな餌(甲殻類や小魚)は、その「風下」に自然とフワッと溜まってくる構造になっています。

つまり魚たちにとって、そうした地形は――

・流れから身を守れる「安全な住まい
・餌が自然と届く「食堂

この2つを兼ね備えた、いわば「待ち伏せマンション」なんです!
楽をしながら、確実に食事にありつける特等席というわけですね。

「待ち伏せマンション」にもグレードがある!?

  • 🏢 タワマン級(一等地) 潮の当たり方が抜群に良く、上流から餌が次々に流れ込んでくる「カケ上がり(斜面)」の頂点付近。大型のマダイたちが真っ先に陣取る特等席です。
  • 🏠 ファミリー向け優良物件 岩陰や沈み根の裏側など、強い流れから身を隠しつつ、そこそこ餌にもありつける安定した場所。
  • 🏚️ ちょっと訳あり物件 地形の凹凸は立派でも、その日の潮の当たり方が悪く、餌があまり流れてこない場所。当然、魚もあまり寄りつきません。

ここで重要なのは、「同じ地形でも、その日の潮の向きや速さによって『今日のタワマン』の場所が変わる」ということです。

単に海底の地形図を丸暗記しているだけでは、賢い野生の魚には出会えません。常に変化する状況に合わせて、リアルタイムで「今日のタワマン」を特定する――ここに、関門の海を知り尽くした石田船長の腕の見せ所があるのです!

石田船長が「風と潮」を読む理由

ここで繋がってくるのが、当船の石田船長がこだわる「船の着け方(操船)」です。

当船では、風と潮の力を使って船を自然に流しながら広範囲を探る「ドテラ流し」というスタイルを中心に釣っていきます。

このドテラ流し、一見すると「ただ船を流しているだけ」に見えるかもしれませんが、実はめちゃくちゃシビアな計算の上に成り立っています。

なぜなら、「風で船が流される向き・速さ」と「海中で潮が流れる向き・速さ」を完璧に計算して船をセットしないと、仕掛けが魚のいる「待ち伏せマンションの玄関前」に届かないからです。

最新の魚探やソナーはもちろん強力な武器ですが、画面の反応だけに頼っていては「その瞬間、どのマンションのどの部屋で魚が口を開けて待っているか」までは完全には分かりません。

だからこそ石田船長は、その日の風と潮をシビアに読み切り、 「仕掛けがまっすぐ海底の待ち伏せポイント(風下)へ吸い込まれていく完璧な軌道」 を計算して、そっと船を着けます。

これが分かると、初心者の方でも「ただ仕掛けをまっすぐ落として巻くだけ」で、待ち伏せしている大型マダイの口元へルアーが飛んでいき、ヒットする理由が見えてきますよね😊!

【コラム】関門海峡の巨大な電光掲示板の正体は?

関門海峡の沿岸をドライブしたり、船に乗ったりしたことがある方なら、海に向けて設置された「巨大な電光掲示板」を見かけたことがありませんか?

「E 3」や「W 5」のようにアルファベットと数字が光っているアレです。 実はあれ、東(East)からの潮・西(West)からの潮が、現在何ノットで流れているかをリアルタイムで表示している「潮流信号所」なんです。日本有数の急潮に加えて、1日に500隻以上もの船舶が行き交う都市部と隣り合わせの関門海峡ならではの、非常に珍しい設備ですね

この掲示板の数字こそが、その日の「待ち伏せマンション」がどこに形成されるかを左右する超・重要データ。潮の向きや速さが変われば、魚が身を潜める「風下」のポジションもガラリと変わるからです。

もし関門エリアに遊びに来る予定がある方は、ぜひ海沿いでこの掲示板を探してみてください。「あ、今の潮は西へ5ノットか」なんてつぶやけば、ちょっとした地元通・釣りツウの気分が味わえますよ!😊

まとめ:野生の魚は素直だからこそ面白い

  • 流れが速い=魚がいない、は勘違い
  • 賢い魚は流れと戦わず、地形を利用して「待ち伏せ」している
  • 船長の「風と潮を読む技術」は、その待ち伏せ場所へ的確にルアーを届けるための技術
1限目で学んだ「[野生の魚は警戒心が薄くて素直]」という前提に、「待ち伏せ場所さえ分かれば、出会えるチャンスがグッと近づく」という事実。

この2つが組み合わさることで、関門海峡という特殊なフィールドでのタイラバ・SLJがもっと面白くなりますよ!

まずは一度、この「待ち伏せマンション」にあなたの仕掛けを直撃させてみませんか?
初心者の方でも、スタッフHと船長がしっかりサポートします!

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